企業対象暴力の現状と対策
企業におけるコンプライアンスが重視され、企業活動そのものに廉潔性・透明性が求められている昨今、暴力団等の反社会的勢力を利用したり、資金提供することは厳しい社会的批判をうけることになります。
また、企業として反社会的勢力への対応を誤ると、経営陣や担当者の責任問題はもとより、株主から賠償請求を受けたり、あるいは企業の信用が失墜し、場合によっては、企業自体の事業継続が困難になるおそれもあります。
暴力団等と関係遮断することは、コンプライアンスのみならず、企業のリスク管理の観点からも極めて重要です。
今後、企業が暴力団等と知らずに関係を持ち、経済取引等により資金を提供する可能性があることを踏まえれば、暴力団等との関係遮断について規則や体制を整備するとともに、取引活動から反社会的勢力を排除する仕組みを構築することが求められています。
総会屋とは
総会屋とは、単元株を保有し、株主総会で質問、議決等を行うなど株主として活動する一方、コンサルタント料、新聞・雑誌等の購読料、賛助金等の名目で株主権の行使に関して企業から利益の供与を受け、又は受けるおそれがある者をいいます。
2023年においては、全国11企業の株主総会に延べ11人の総会屋が出席しています。
会社ゴロ等及び社会運動等標ぼうゴロとは
会社ゴロ等とは、総会屋以外で企業等を対象に不正に利益を求めて暴力的不法行為等を常習とし、又は常習とするおそれのある者をいい、「会社ゴロ」と「新聞ゴロ」に分けられます。
社会運動等標ぼうゴロとは、社会運動・政治活動を仮装し、又は標ぼうして、不正な利益を求めて暴力的不法行為等を行う恐れがあるグループ・個人であり、「社会運動標ぼうゴロ」と「政治活動標ぼうゴロ」に分けられます。
社会運動標ぼうゴロは、人権問題や環境問題に名を借りて、また、政治活動標ぼうゴロは、街宣活動等による組織の威力を行使して、企業等に対して違法、不当な要求を行っています。
企業活動を利用した資金獲得活動
暴力団は、実質的日その経営に関与している暴力団関係企業を通じたり、暴力団を利用する企業と結託するなどして、風俗業、金融業等の各種事業活動に進出し、暴力団の威力を背景としつつも一般の経済取引を装い、様々な犯罪を引き起こしています。
暴力団排除条項の導入
暴力団等が、その正体を隠して経済取引の形で企業に接近し、取引関係に入った後で、不当要求やクレームの形で金品を要求する手口が見られます。
また、不当要求等を行わなくても暴力団等と何らかのつながりを持つことは、暴力団等との密接な交際や暴力団等への利益供与の危険を伴います。
企業対象暴力を排除するためのチェックリスト
あなたの職場ではどうですか? 担当者がひとりで悩んでいませんか?
あなたの職場では、暴力団からの不当要求を未然に防止したり、不当要求を受けた場合に的確な対応ができる対策がとられていますか?
下記項目をチェックして、不備な点がある場合は、早急に対策を検討しましょう。
- □ 「不当要求には絶対に応じない」という方針が組織内に確率している
- □ 不当要求を受けた場合の対応マニュアル等が定められている。
- □ 不当な要求を受けた場合は、上司に報告することになっている。
- □ 組織的に対応するため、不当要求防止対策委員会が設置されている。
- □ 警察・弁護士会・暴力追放センターとの連絡通報体制が出来ている。
- □ 関係機関との連携システムが整備されている。
- □ あらゆる契約について暴力団排除条項が導入されている。
- □ 不当要求防止責任者が選任されている。
- □ 窓口・応接室等に不当要求防止責任者講習の受講修了証や暴力追放ポスターが掲示されている。
- □ 暴力団等の活動状況・不当要求の実態と対応要領についての研修会等が開催されている。